現在社畜の掌編とエッセイ

思いつくままに頭の中身を偏らない視点を意識しながら掌編やエッセイとして出力します。

若者は雇わない――おかしな論理

 本当の話か嘘の話か解らない。真偽を確かめるつもりもあまりない。所詮、ツイッターで流れてきた話だ。情報の正確性なんて求めても仕方がない。

 

 それでも、真実っぽく聞こえるところが怖い(真実かもしれない)。横目で見たタイムラインの話は、次のような話だった。

 

最近、バカッターとかバイトテロと呼ばれる若者のツイッターやSNSによる情報漏えいやイメージダウンが多い。だから、バイトには高齢者を雇い会社がイメージダウンをするような炎上を起こされる可能性を減らす。

 

 と言うものだった。思わず。はぁ? はぁ。となってしまった。

 以前のブログに書いたとおり、炎上は若いから起こすわけでも、年配だから起こさないわけでもない。単に、簡単にネットに接続しているか、否か。というただそれだけなのだ。一般的に年配、高齢者の方がネットを使用している可能性が低いという意味では、高齢者を雇用するほうがリスクは小さいとも言えるが、根本的な対策を採らない限り、結局のところ意味はない。

 

 記憶に残っている人もいると思うが、ブログが炎上したことが原因となって自殺した可能性のある県会議員のことを考えてみる(直接的な証拠が無いため、ちょっと歯に物が挟まったような表現)*1。亡くなられた当時、五十六歳だから、若者の範囲には当てはまらないだろうし、この若者を雇わないと発言した人が雇いたいような年齢のように感じられる(定年前後の年齢の方を望んでいるのでは)。完璧にマッチしている年齢層のはずなのに、この県議のブログは炎上してしまった。

 

 理由はいくつも挙げられる。私だって、この方がブログに書いていた内容が素晴らしかった。などとは到底思えない。世間から突っ込まれる要素が沢山詰め込まれていた。ただ、この方もブログをやっていなければ炎上をしなかったはずだ。集中砲火など浴びることもなく暮らしていたに違いない。偶々、この方は、社会的地位を持っていたからいっそうの悲劇だった。どこぞの無職の老人であればテレビで非難されるまでにはならなかっただろうし、自殺するほど追い込まれることも無かっただろう。

 

 いや~、社会的地位なんて無いから大丈夫。そんな問題ではない。別に年配であるからバカッターなんて起こさない。バイトテロなんて発生しない。この例からも解るとおり、そんな根拠は全く無い。要するに、若者だから炎上する。年配だから炎上しない。そんな論理は一切成り立たないのだ。若者が、詰まらないいたずらで炎上させるように、年配者は他人を批判させたりして炎上させやすい。当人たちは、問題がある行為との認識が無いため、未然に防ぐことなど難しい。冷蔵庫に入らなきゃ大丈夫。そんな話ではないのだ。

 

 だから、経営者は若者を雇わない。そんなことを考える前に、ネットワークリスクと教育について考えるべきなのだ。社内での教育が適切になされ、高いモラルを維持していれば、(犯罪行為の)情報漏えいを完全に防ぐことは難しいものの、バカッターなどのヒューマンエラーに近い炎上はかなり高い精度で抑えることが出来るはずだ。

 

 事実、あれだけの人数がいるはずのディズニーランドやマクドナルドからの炎上の話は聞いたことがない。バイトの人数から考えれば、真っ先にバカッターの餌食になっても不思議ではないのに、だ。

 

 大事なことは、本質を抑えることで枝葉をつつくことではない。無論、最終的にトラブルを防止するために枝葉をつつく必要が出てくる場合もある。だが、それはもっと大きなストリームを押さえてからの話だ。

 

 若者はバカッターだから雇わない。そんな本質からずれた発言をする経営者が、優れているとは想像できない(ただ、特化系の経営者も存在するので一概に無能とは言えない)。少なくとも、その程度の理由で雇用を抑制する企業には近づかない方が無難だ。ほとんど思い込みとも言えるような内容で、経営方針を決定している可能性がある。それだけではない。信用していたはずの年配者が炎上させる可能性は全く低減されずに残っている。

 

 バイト先が無くなると恐れる必要はない。真っ当な経営者は世の中に沢山いる。多少賃金が安くなったとしても(通常は酷い経営者の方が給料が安い)、納得が出来る経営者・店長がいる企業の門を叩けばいい。若いうちは機会は沢山残されているのだから。働き先はたくさんあるのだから。

 

 了

 

*1: ブログ“炎上”の岩手県議、自殺か 「ここは刑務所か」と病院対応を批判 - MSN産経ニュース